Novelty Collection | ノベルティコレクション

Novelty Story - ノベルティコレクション 事例紹介インタビュー

Vol.1 株式会社マクロミル

社内外に「ユニーク・ユーモア・クリエイティビティ」溢れるメッセージを伝えるマクロミルのノベルティとは?

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企業のノベルティというと、万人受けするボールペンやカレンダーなどの実用品を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、そんなノベルティの王道をあえて行かず、毎回趣向を凝らしたノベルティで自社のブランディングを行っている企業があります。今回は、マーケティングリサーチを行う株式会社マクロミルのユニークなノベルティについて徹底取材。長年ノベルティを手掛けている、マーケティング&プロダクト本部広報室マネジャーの大石真史さんに、ノベルティへのこだわりや思いを伺いました。

お客様の心に残るノベルティを

マクロミルのユニークなノベルティの歴史は、創業時から始まりました。創業当初、売上がまだ1億円にも満たない頃に、社長の杉本哲哉氏は売上の半分を販促・広告費につぎ込んだそうです。「お客様の心に残ることがどれだけ大切か」ということを、このエピソードが物語っています。
2000年の創業時はネットリサーチ自体が新しいものだったので、その新奇性を伝えていました。毎年、趣向を凝らしたノベルティによって「ネットリサーチならマクロミル」をアピールし続けてきた結果、社名・サービスともに浸透してきました。ただ、今はノベルティを利用してお客様の心を掴まないと、商材だけアピールしてもなかなか刺さらない。だから、「マクロミルだったら何か面白いことしてくれそうだよね」と思われるような、お客様の心に残るノベルティづくりを心掛けています。その点は営業メンバーも認識していて「ノベルティをきっかけにお客様の懐に飛び込めるので、非常にありがたい」と言ってくれます。

8割の人に刺さるものはつくらない

「リサーチで疲れた肩に、ポンポン肩たたき」「リサーチのようじはマクロミルへ」――。創業当初は、ネットリサーチをより身近に感じてもらうために、しゃれを交えたオリジナルのノベルティを制作していました。
転機が訪れたのは2014年の暑中見舞いです。この年、ロゴのタグラインに「Innovation or Nothing」というメッセージを加えたCIのリニューアルを行いました。新しいコンセプトを、ノベルティでどう伝えるか。ドラッカーの名言「イノベーション戦略の第一歩は、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的・体系的に捨てることである」にならい、まずは身の回りの不要なものを捨ててもらおうと、ゴミ袋を企画しました。ゴミとか、捨てるとか、過去とかって、いくら面白くてもノベルティとしてネガティブ要素があるのはどうなんだろうと、正直、当初はダメだと思っていました。けれど当時社長の杉本さんが「いいじゃん、これ」と決めてくれた。結果、お客様やメディアからものすごい反響をいただき今でも多くの方から「あのノベルティはよかったね」とお褒めいただいています。
この時からノベルティに対する考え方をシフトチェンジしました。受け取った2割の人の印象に深く残ればOK。「マクロミルって面白い会社だな。チャレンジしているな」と思ってもらえれば、この企画は成功です。それくらい潔いコンセプトを立てないとただのノベルティになってしまいます。

夏場にプリンを送り、
大批判を受けたことも…

ただ、あまり奇をてらいすぎなのもよくありません。失敗した苦い思い出もあります。2016年の暑中見舞いノベルティで、プリンを送ってしまったんですね。よりによって夏場にプリンって…と現場から相当不評でした(笑)。当時、文春砲などで芸能人の不倫が叩かれていた時期で、「毎日疲れませんか?甘いものでもいかがですか?」と、アンケートデータをつけてお送りしたのですが、コンセプト以前に夏場のプリンという悪印象だけが残ってしまいました。
作る側は2割に刺さればいいという狙いで、面白いものをつくりたい。でも、現場の営業メンバーからすると、自分自身も欲しくないし、お客様に差し上げるのは嫌ですと言われる。企業姿勢として面白さのバランスが非常に難しいんですね。ですので、今は2割の人に刺さるものをつくる心は持ちながら、あまねく人が喜んでくれるものを目指しています。そういった点において最近ヒットしたのは、熱伝導のアイスクリームスプーン。「生活者のインサイトをすっとすくう」というメッセージを添えました。アイテムとしての面白さとコンセプト、さらにもらって嬉しいものという要素がうまく重なったノベルティでした。

社員向けノベルティは、
いかに愛着を持って使ってもらえるか

お客様向けのノベルティは、マクロミルの姿勢を伝えるものとして活用していますが、社内向けには「いかに使われるか」に重きを置いてつくっています。
2016年、マクロミルは新CEOを迎えたタイミングで新しいMisson,Vision,Valuesを策定しました。Misson,Visionはトップダウンで決まったものですが、Valuesは海外のグループ社員含め全社員からアンケートを募って言葉を集めました。質問項目は「今までのマクロミルにあるもので、残していきたいこと」「変えたいこと」「新たに加えたいもの」をそれぞれフリーアンサーで答えてもらいました。「風通しの良さ」や「経営との距離」「チャレンジできる環境」等々、色々でてきたエッセンスをまとめてかたちにしたのが4つのValuesです。
Valuesの浸透にあたって重視したのは、楽しくて自分事化できること。4つのValuesそれぞれに意味を持たせてカラフルな色をつけ、マグカップ、ノート、ステッカー、名刺の裏とグッズ展開しました。マグカップはおかげさまで非常にクオリティの高い色合いが出せました。新入社員にはこれら一式を入社初日の配属日に配っています。入社前にMy Valueを選んでもらい、入社した瞬間に会社のカルチャーに触れて自分事化してもらう。とにかく身近に置いて愛着を持ってもらうことが大切だと考えています。

クリエイティブの力で、会社の価値を伝える

ありがたいことに、最近ではこうした社内浸透施策について、他社広報から話を聞きたいという声をいただけるようになってきました。同時に、社内でも社員がクリエイティブの価値を認知し始めてきており、企画書や写真ひとつとってもクオリティが上がっています。
クリエイティブを通してブランディングや会社の価値の伝えることは大切ですし、そこから伝わる何かは絶対にあると思っています。表現の幅はまだいくらでもあると思っているので、堅実に設計をしながら、これからも大胆に新しいことに挑戦していきたいです。

社名:株式会社マクロミル

本社 :東京都
資本金:6億7,400万円(2017年6月末時点)
売上高:355億1,400万円(2017年6月期)
従業員:連結 1,890名 / 単体:893名 ※2017年6月末現在